
何度も話したが、私も自閉症は治療できない先天的な疾患であると思っていた。
大半の医師たちがそうであるように、私もそう思っていた。
そんな中、自閉症児たちのアイコンタクトを好転させる治療を始めるようになり、児童たちの社会性習得過程で根本的な変化が起こることを目撃することになった。能動的に模倣し始め、人々を観察して好奇心を表現し始めたが、このような現象は「自閉症から抜け出している」という表現以外には説明が不可能だった。そして、短い時間で自閉症を克服する児童たちを経験することになり、「自閉症は完治可能な疾患」だという確信を持つようになった。
自閉症の完治可能性を主張する文と映像、そして本の発表を繰り返すと、インターネット上から患者会を中心に耐え難い非難が殺到した。何より妻の反対も激しかった。妻は児童学を専攻し、自閉症児の社会性発達に対して一緒に研究、討論する同僚だ。自閉症完治の可能性をいう心は理解するが、世の中のみんなが不治を主張するのに、一人だけ完治可能性を主張するのは間違った態度であると完治主張に反対した。妻も伝統的な見方に充実した人なので、無理な主張を慎むことを助言したのだ。一緒にするプレイセラピー、言語治療士の先生たちの不信に満ちた目つきも感じられた。通称、無名の漢方医師が完治可能性を主張するけど、どうやってその主張を信頼することができるだろうか。おそらく詐欺師か、知能の低い人かと扱っていただろう。
非難と不信に疲れ果てた頃、私は非常に卑怯な突破口を見つけることができた。いわゆる「Optimal Outcome」という用語だ。アメリカのコネチカット大学のデボラ・ファイン教授(Deborah Fein)は自閉症から脱した状態を「Optimal Outcome」(最適の状態発現)と概念し、この状態を次のように規定した。
– 「Optimal Outcomeとは正常範囲のIQを表し、自閉症の診断基準から脱した状態で、一般学校に通いながら正常な友人関係を形成する状態である」と定義した。
つまり、非常に複雑で微妙な状態では相互作用に微妙な異常がある可能性があるが、殆どの正常生活をするのに何の異常もない状態を意味するので、「Optimal Outcome」を自閉症の完治だと訳しても構わないだろう。
デボラ・ファイン教授は自閉症から抜け出した34名と一般児童34名を比較したとき、顔面認識の能力から若干劣る以外には平均範疇の児童と違いはないと発表し、この状態を「Optimal outcome」と表現したのである。
デボラ・ファイン教授の主張は完治主張に対する非難を避ける名分を与えた。つまり、自閉症を作り出す遺伝的な要因、脳神経学的な変化が可能かどうかは一応論外にしたのだ。それとは関係なく、機能的に自閉症から抜け出して社会生活をする正常な範囲へ回復することが可能だということだ。私は7年前から自閉症の完治という用語を具体的に表現するときには、「Optimal Outcome」という用語を使用してきた。そして時間がずいぶん経った。その間、無数の子どもたちが正常へと回復することを経験した。
私は改めて自閉症ではない状態への回復を意味する用語として、完治という用語を使用することが妥当だと思う。すなわち、自閉症は、治療(cure)可能な疾患で、完治(complete recovery)された状態に到達することが治療の目標である。
重度な自閉症児が正常へと回復するのを数多く見守りながら、子どもたちの変化はただ機能的な変化ではなく、根本的に自閉症だった子どもが自閉症ではない子どもに変化する好転過程であることをより確信するようになった。
子どもたちは年齢が低いほど、自閉症という痕跡すら残らず好転する場合が多かった。しかも、双子の中で自閉症だった子どもが治療後には語用言語と社交性がもっと良い事例もある。このような変化は、児童たちの脳神経学的な変化なしには不可能な結果である。
デボラ・ファインが言ったOptimal Outcomeは機能的な意味の用語であり、教育的な意味の用語でもある。
自閉症の傾向はなくならないとしても、非常に高機能アスペルガー児童たちは教育を通じてOptimal Outcomeに到達することが可能だ。
デボラ・ファインが話したことは、治療(cure)や完治(complete recovery)の概念を排除した機能的で教育的な用語である。完治(complete recovery)と最適産出(optimal outcome)の間には隙間が存在する。
年齢が低い自閉症児たちは自閉症の傾向から抜け出す、完治(complete recovery)状態に到達すると、早く最適産出(Optimal Outcome)状態に到達するようになる。
しかし、治療する時の年齢が高い子どもの中で、治療(cure)され、自閉症傾向から抜け出した完治(complete recovery)として回復に成功すると、生物学的には10歳を超えたが、精神年齢としては4~5歳水準にとどまっている場合をよく接するようになる。このような子どもたちが最適産出(Optimal outcome)に到達するためには同年代水準にならないといけないけど、これは非常に長い時間がかかることになる。
私は医学的な介入をする人である。私は自閉症を治療(cure)可能な疾患だと認識しており、完治(complete recovery)可能な疾患だと非常に明確に話している。最適の状態(Optimal Outcome)は、教育して行動的な介入をする治療士たちの課題であり目標であるが、私の目標ではない。
自閉症はとても独特な脳神経疾患である。もし、私が治せない自閉児がいれば、これはまだソリューションが不完全な私の問題であると私は思う。そして、治療に失敗した子どもたちを通して再び学び、治療法を果てしなく発展させるのが私の使命だと思う。
最近、生化学的な接近で自閉症を治療する人たちが増えている。本当に嬉しくて良い現象であろう。医学を専攻した人たちが自閉症完治という用語を簡単に使うのをみて非常に強い親密感を感じたのである。
今は妻も私が完治を主張することを反対しない。実際に治療され、好転する無数な子どもたちをそばで見守っていたからだ。不信の目で私を見つめていた治療士の視線も変わったようだ。私と治療士が協業する過程で、子どもたちが急速に好転し、正常発達へ回復する子たちを直接経験したからだ。今一緒に働く治療士は6~7年間転職なく共にしている。私たちが一緒に子どもたちを自閉症から抜け出すように治療するのに実際に成功しているというやりがいと自負心を共有しているためであろう。
このように時間が経つにつれ、自閉症に関する理解も変化すると確信する。少しずつ自分の経験を公開的に情報提供する方々がいて力になる。自閉症から抜け出して治療に成功した親たちが公論の場で自分の経験を堂々と語ることを願う。それが自閉症が与える恐怖から抜け出す最も速い道になるだろう。